タックスヘイブンとは、日本語で「租税回避地」と訳され、有名どころではケイマン諸島、カリブ海、チャネル諸島、キプロス、アイルランドなどの国で、匿名性が高くて無税若しくはとても低い税率で非公開の銀行口座や法人を持つことのできる国のことを言います。

 その制度を利用した企業は、タックスヘイブンに作った法人と取引があったことにして、本国の本社の利益を減らし税金を安くし、また違法な商売で儲けた大金持ちはタックスヘイブンに作った口座にお金を送金しマネーロンダリングしたりしています。

 アメリカの大企業であるゴールドマンサックス、アマゾン、アップル、グーグル、スターバクスなどがタックスヘイブン国に利益を移転していることが問題になっていて、何とこれらの税金の追及を逃れようというお金が世界のタックスヘイブンには30兆ドルもあるとされています。

 これまではIRS(アメリカの国税)などが、これらを黙認していたのですが、さすがにリーマンショック後の世界は財政破綻となりタックスヘイブンによる脱税が問題になり、また金融危機になったキプロスがタックスヘイブンなので金融界が闇に閉ざされ救済しづらかったことなどから、ついには5月7日のG7で、「タックスヘイブン許さじ」という事になりました。

 そもそもタックスヘイブンはなぜできたのか?、、、まあ「人間の欲の深さから」と言ってしまえばその通りなのですが、ちゃんと立派(?)な歴史があります。

 第二次世界大戦後、経済破綻したイギリスは、戦後に経済大国として大発展したアメリカに目を向けました。「アメリカの金を奪い取れ」カッスラーの小説ではないのですが、そう考えたかどうかはわからないのですが、イギリスはケイマンやバハマのアメリカ沖イギリス保護領に「アメリカ企業若しくはお金持ちのみなさーん、こっそりお金を貯めてもいいですよー」とタックスヘイブンを作り、そこに流入したアメリカの資金をイギリス金融界が運営して儲けてしまおうとする、「振り込み詐欺」的システムを構築したのです。

 また、イギリス金融界はそれでも足りずと見て、イギリスとヨーロッパ大陸間にあるチャネル諸島を利用してEUのお金持ち専用の「振り込み詐欺」的タックスヘイブンを作り、儲けたのです。

 アメリカもそれを見逃すわけもなく、米英共同で巨大投機筋にタックスヘイブンのお金を使わせて、米英に従わない中国、ロシア、EUなどの国に金融攻撃を仕掛ける「金融兵器」の倉庫として利用していたのです。

 これらのお金が世に出るとどうなるのか、金融界は透明になって活況になるのか、それとも、米英という金融界の闇にリーダーがいなくなり破綻するのか、これは神のみぞ知る、ということか。

税理士法人SETACS