いわゆるお茶の正式なルールでは、濃茶か薄茶の抹茶をお茶碗に入れて、3回くらい他の茶碗に移し替えて温度を下げ、茶筅でシャカシャカと溶かし泡立てたのを、お行儀よく両手でいただき飲みます。結構なお点前です。 ところが玉露の世界ではちょっと勝手が違うようです。

 温度の低いお湯を使うことは同じなのですが、そもそもなぜ温度の低いお湯を入れるのかを考えてみることにします。

お茶にはお茶の葉特有の甘味成分であるテアニンが入っていますが、テアニンはとても溶けやすいので一煎目に70%を抽出されるのですが、こちらは高温でも抽出され、お湯が熱かろうが低かろうが、ちゃんとアミノ酸の一部である甘味成分を抽出してくれます。

ここで問題なのがカテキンの存在で、カテキンには血圧上昇抑制作用、血中コレステロール調節作用、血糖値調節作用、抗酸化作用、老化抑制作用、抗突然変異、抗癌、抗菌、抗う蝕、抗アレルギー作用などがあり、身体にとてもいい奴です。

ところが、このカテキンは、お湯が熱ければ熱いほど抽出されるのですが、とても「渋い」ので玉露の最高の持ち味である「甘さ」を消してしまうのです。

そこで世の「お茶の民」達は、「体にいいことはほかでやってください」「ここでは玉露の甘味だけを味わってください」と、わざとお湯をぬるくして玉露を立てます。

玉露を入れる女性が急須から小さな茶碗にお茶をポタポタと入れます、お茶は最後の一滴が一番美味しいと言われているので、最後の一滴を絞るように注ぎます。

すると、飲み人たちは(着物など着て気取っているのですが)前に茶碗を置かれて、合図と同時に左手で茶卓を持ち、右手のみの片手で口に放り込むようにお茶を飲みます。

同じお茶の世界でも、結構違うものだなあと、感心した次第です。  

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