「景気は穏やかな回復基調が続いている」、政府の大本営発表に踊らされている訳
ではないだろうが、東京の繁華街である銀座、新宿、新橋、有楽町などの夜は人であ
ふれている。

 終電近くになると、駅に続く道は満員電車のような様相で前に進むのさえ難しい
し、その満員電車はカボチャの如く膨れ、駅に止まる度に疲れきったビジネスマンを
大量に吐き出す。

 果たして日本の景気は回復したのだろうか、秋の夜の夢はあるのだろうか。 

 ここは酔っぱらった眼を細めて数字を見てみることにしてみよう。

 GDPとは、政府支出、民間投資、個人消費支出などによって構成されていますが、
日本のGDPの60%は個人消費支出が占めています。

 その消費支出が前期比で驚きの5%減で、また住宅投資は10%以上減、耐久消費
財19%減、設備投資2.5%減となっています。

 となると、企業には在庫が倉庫にあふれていますから、これを売りに出す努力はし
ますが、新しいものを作る余裕はなく、投資も生産も停滞し、給与も雇用も悪化しま
す。

 明らかに消費税増税による景気停滞です。

 アベノミクス3本の矢の1矢目(大胆な金融緩和)は派手な成果を見せましたが、
2矢目(機動的な財政出動)、3矢目(規制緩和による成長戦略)は的に当たる前に
失速中です。

 政府は早く負けを認めて新しい政策-例えば、大規模な公共投資や雇用対策・賃金
対策などの大きな視野に立った戦略-をすべきではないのだろうかと思い、酔いがさ
めました。金返せ。

税理士法人SETACS