北大路魯山人、言わずと知れた稀代の美食家であり、天才陶芸プロデューサーであり、そしてマンガ美味しんぼの海原雄山のモデルであります。
 世のあまたの美食の限りを尽くした男が選んだ最高の美食は「海にふぐ山にわらび」と語ります。ただしわらびは取れたてで酢醤油で食べる、とも語ります。
 現代の美食家たちは「海にふぐはわかるが、山はわらび」かと首をひねるかもしれないのですが、両方の食べ物にはハッキリと共通点があります。両方とも「全く味がわからない」のです。「そこに無量の魅力が潜んでいる」のだと魯山人は語ります。最高の美食には「味がない」のです。「魯山人はポン酢と酢醤油が好きなのか」と凡人は思います。いやきっと無量の深さがあるのでしょう。

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