現在の日本のいわゆる「安全で快適なサービスの行き届いた」生活は、将来の少子高齢化・人口減少・返済しなければならない政府の借金・資源元々なしといった薄氷の上というか、水面のわずかに膨らんだ表面張力によって支えられていると言ってもいいのでしょう。
 そんな中、多分わけのわからないまま民主党が推し進めて、14年10月に名古屋議定書として採択された「生物多様性条約」は、日本にとっては過酷な条約ではないでしょうか。
 地球上には3千万種の多様な生物が存在し、これらの生物多様性が人間が生まれる遥か前40億年の歳月をかけての活動により、地球は、食料、石油、石炭、森林などによる水質浄化、自然の景観の美しさ、太陽と植物の光合成による酸素供給などなどを人間に供給してくれました。
 その中の遺伝資源(遺伝の機能を備えた生物由来の素材)を供給する国が、受益国に利益配分を求めることができるようになるのがこの条約で、例えばインドネシアの熱帯雨林で発見された薬草で日本の製薬会社が新薬を開発したとすると、その新薬の売上で得た利益の一部を日本はインドネシアに支払うことになったり、ゴムの供給国ブラジルに対してブリジストンのタイヤの売上に応じた利益の一部を日本はブラジル政府に支払わなければいけないかもしれないのです。
 日本の遺伝資源利用の80%が中国由来のものと言われており、日本の製薬メーカーはその調達先を中国から国内へのシフトに必死だそうですが、批准そのものをやめればよいのでは?

 

税理士法人SETACS