モノやサービスを他人に認めてもらってお金を支払ってもらうのだから商売は難しい。特に新しくはじめる商売はすでに人がやっている分野への進出がほとんど であるからなおのこと難しい。またすでにやっている商売をより拡げたり、維持していくこともこれもまた大変に難しいことであります。
  「あのブランドの失敗に学べ」という本にはブランド企業の失敗についていろいろと書いてあります。ちょっとだけ学んでみることにしてみましょう。
  マクドナルドは以前、洗練された大人向け商品として「アーチ・デラックス」というハンバーガーを売り出しましたがほとんど売れませんでした。なぜならばマ クドナルドに大人の洗練された味は求められておらず、全国のどこの店でも『均一的な品質』が評価されていたからです。そもそも「味」を前面に出したのが問 題だったのでしょう。
  ケロッグは以前、「シリアル+牛乳+フォーク」でセットといういかにも便利そうな商品を売り出したのですが、シリアル売場は冷蔵庫になっていないので牛乳 が生ぬるくなってしまい、これもほとんど売れなかったようです。まさに『アイデア倒れ』の感のあるこの失敗は市場調査をしない、米国史上最大の失敗とまで 言われているようです。
  飛行機から金融商品まで幅広く商売を手がけるヴァージンは、コカ・コーラと同じくらい世界中で有名になりたいともくろみ、コークよりも20%低い価格の 「ヴァージン・コーラ」を売り出しましたが、スーパーではコークとペプシが陳列スペースを与えず、広告費も倍増して徹底的にヴァージンの進出を拒否しまし た。『ブランド拡大の』失敗例です。
  野球の野村元監督がテレビで「エースと4番は素質で決まるのでチームでは育てられないから、他から持ってくるしかないんや」と訴えたが、球団は金をかけるのを拒んだので優勝できなかったと言っていました。『現場と資本の認識違い』とでもいうのでしょうか。
  卑近な例では、私の事務所の近くの立食い蕎麦屋の隣に、そこよりも旨い他の立食い蕎麦屋が店を出しましだが、半年もたたないうちに撤退しました。神田のサラリーマンが保守的なのか古い店に同情したのかは分かりませんが、商売は実に難しいものです。

税理士法人SETACS