カキを魚屋に買いに行くと、「生食用」と「加熱用」があります。いかにも生食の方が新鮮で美味しそうに思えますが、実際はそうでもありません。カキに中 (あた)ると、それはそれは苦しくて七転八倒の苦しさで、「もう2度とカキなんか食べるものか」などと思うことさえままならないで、ひたすら身体から苦し みが抜けていくのを待つしかありません。

 カキによる食中毒は、カキが海水から吸い込んだ菌から発生します。熱を通せば菌は死ぬのですが、生で食べると、その菌が人間の体内で繁殖して食中毒を起こします。

 そこでこの菌を取り除くためにカキ業者は、紫外線殺菌装置で殺菌した海水が循環している水槽にカキを2~3日入れておき、菌のないカキとして生まれ変わらせ、これを「生食用」として売るのです。

 これに対して、とりたてのカキが「加熱用」です。「生食用」は2~3日餌も与えられずに水槽に放置されるので、当然に「加熱用」の方が新鮮でおいしく食 べられるのです。だから、「生食用」の方が美味しいと思って高いお金で買って海老フライを作っても、加熱すれば「加熱用」の方が美味しいので、高いお金を 出して、まずい食べ方をしていることになります。

 カキへの抗体が体にできている人は、「加熱用」を生で食べても平気なようですが、食べた後に同じ部屋などに抗体のない人がいると、その人はカキを食べてもないのに食中毒になることもあるそうです。

 たばこの副流煙にも似たこのシステム。恐るべし自然界と人間の関係図ですね。

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