そもそもは海外居住者への国外財産の贈与が非課税扱いであった1999年に武富士創業者である会長から香港に駐在中の長男に外国法人株を生前贈与したことに対して、東京国税局がそれは「課税回避」であると判断して約1650億円の申告漏れを指摘し、約1330億円の追徴課税をしたことが始まりです。

 それに対して武富士側は国税局相手に裁判をしていたのですが、最高裁は長男の香港滞在日数は約65%であることから生活の本拠は香港であった(ようするに海外居住者であった)と認定して、「それが例え租税回避が目的であったとしても、客観的な生活実体は消滅せず、納税義務はない」としました。

 そこで問題なのが、すでに長男側は延滞税を含めた約1600億円を納付済みなので、国は利子にあたる「還付加算金」約400億円(年利4.14.7%で計算)を上乗せして還付しなければなりません。

 しかもこの還付加算金400億円は我々の納めた税金となると、日頃、まじめに納税している人たちにとっては、怨嗟の対象にもなるでしょう。

 と言っても、この400億円は雑所得となるので最高税率(所得税+住民税)50%の200億円はまた納税し、さらに武富士を訴訟している人たちはそのお金を返済に充てるようにという訴訟を旧経営陣である長男個人にしようとしています。 そうなると手元には何も残らないかもしれませんね。

 ちなみに、2000年の税制改正で、贈与する側か受ける側のいずれかが過去5年間以内に日本で住んでいれば、海外資産も課税対象にするようになりました。税法も変わるきっかけの出来事でした。

税理士法人SETACS