1.  不況なんだから、お金をたくさん刷れば良いのでは?

 消費税の増税が閣議決定されたようですが、増税反対派の人たちの「名目成長率3%達成できなければ消費税引き上げをできないことを条項に入れろ」という主張は、一見経済通の政治家と自分たちだけで思っているんだろうなという寝言、世迷言で、過去名目成長率3%を超えたのは平成3年が最後でその後は越えたことがありません。バブル最後の頃ですよね。無理ですよ。

 とまあ、かように不況の中を今の日本人は生きているわけですが、「不況でお金がないんなら、お金をじゃんじゃん刷って配れば景気も上がるんじゃない」と思うわけですが、そうも行きません。

 まず、資本主義というものを考えてみると、国民生活の豊かさを表すのに最も大切な指標はGDP=国民総生産(企業が1年間に創造する物資やサービスの集計)で、この創造された物資やサービスを国民がたくさん消費できるということは、国民生活が豊かになるということでありますから、消費されるGDPが上がればそれは国民生活が向上したということになります。

 そして企業はこのGDPの創造のために資本金という元手を必要とし、この資本金を元に人を雇用し、物やサービスを創造できるのであり、その創造活動が向上すれば利益も出てきます。

 本来、資本主義とはこの利益の余剰分を再び会社の資本に投入しさらなる物やサービスの創造することにより、なお経済活動が向上しひいては国民生活も豊かになるのです。

 逆に、この余剰利益を社会保障に投入するのが社会主義でありますから、まさに今の日本は企業から法人税、消費税などで利益を回収し社会保障に投入しているのですから社会主義であります。

 ちょっと話が主題からそれましたが、企業は資本金では足りない資金を金融機関から借ります。

 金融機関の総元締めである中央銀行は、経済不況時にはより低金利で銀行等にお金を貸します。

これはマネーサプライ(世に流通しているお金)を増やすことにより、物やサービスを消費させ、経済上昇や雇用創出を狙いとしています。

 だから、お金をじゃんじゃん刷って、もっと消費してもらえばいいじゃんと言いたいところなのですが、ここで問題になるのがインフレです。

 お金を刷りすぎて企業がモノやサービスをガンガンと創造しだすと、例えばその元である資材が値上がりし、もっと広い土地が必要になれば土地も値上がりし、従業員ももっと雇用したいので賃金も上昇していきます。 「なんだそれなら良いじゃない」と突っ込みたくなるのですが、そうなると物価はグングンと上昇し、そうなるとお金の価値も下がります。

 お金の価値が下がるということは、貯金の価値が目減りするということであります。

例えば、50万円預けている貯金の価値がいつの間にか20万円になっていたらどうしますか。いや5万円位にも目減りしてしまうかもしれません。

 AIJにだまされた、振り込み詐欺にだまされたのと同じように、インフレにだまされた人たちは全く自分たちに罪がないのにお金が無くなります。

 そこで「デフレというものはどうなのか」のテーマは次回に持ち越しますが、不況の時代,みんなでがんばって楽しく生きていけるようにしようじゃありませんか。

税理士法人SETACS