65. 税制改正は「改正」か「改悪」か? 2010.11号掲載
民主党政権では初となる平成22年度税制改正の内容が明らかになってきました。
この改正は、果たして「改正」なのか「改悪」なのか、事業をする人への影響はあるのか、日本国民として生活を送るに日本は住みやすくなるのかならないのか、見てみることにしてみましょう。
まずは、事業をする経営者に影響のある法人税の改正では、
① 中小企業に対する優遇制度は、ほぼ継続されるようです。
1. 年間交際費の600万円までは90%損金算入・・・ちなみに資本金額が1億円超の企業では100%損金不算入になります、要するに交際費は経費になりません。
2. 1単位当たり30万円未満の少額減価償却資産の一年間300万円までの一括損金算入・・・一つ10万円以上であっても30万円未満であれば損金算入されます、所得税もです。
3. 中小企業投資促進税制の2年延長・・・特定機械装置等を取得した場合には、(イ)1台160万円以上の機械装置、(ロ)1台120万円以上の事務処理の能率化等をする電子計算機、デジタル複合機、(ハ)一つ70万円以上のソフトウェアなどが、30%の特別償却又は7%の税額控除を受けられます、所得税もです。
4. 中小企業等基盤強化税制の拡充・・・いわゆるIT税制で、70万円以上の特定のIT機器を買った場合は3と同じ控除が受けられます、所得税もです。
② オーナー課税制度は廃止の方向です。
平成18年度税制改正で設けられた悪名高き「一定の同族会社の役員報酬の損金算入を認めない」いわゆるオーナー課税制度が廃止になります・・・対象になっていた会社にとっては「改正」ですね。
③ グループ法人税制が導入されます。
④ 倒産防止共済が拡充されます・・・掛金総額320万円まで貸付限度額3200万円までだったのが、掛金総額800万円まで貸付限度額8000万円になります。
⑤ 退職金共済に同族親族のみの会社も加入が可能になりました。
あとは法人税引き下げなどが論議されているようで、中小企業にとっては「改正」となるかもしれませんが、23歳から69歳までの成人した家族を扶養していると一人当たり38万円の所得控除を受けられていた「成年扶養控除」が、その扶養をしている人(大体は親だと思います)の年間所得が400万円を上回る場合は認めない、子ども手当の代わりに特定の扶養控除を認めない、配偶者控除を認めないなど、就職浪人の子供を持つ親、お金のかかる世代の子供を持つ親、自宅で子供を育てることに専心しようとする親などには重税感のあるラインアップになっています、こちらは「改悪」ですかね。