IT弱者とは、いろいろな理由で、パソコンやインターネットなどの情報・通信機器の利用が苦手か全くできない人たちのことをいい、典型的な例としては、低所得者層、高齢者、視聴覚障害者などの多くの方たちがこれに当たるといいます。
別名「情報弱者」とも言われ、情報技術を活用できる人たちとの間に社会的・経済的に格差が生まれるとされ、また、その格差が拡大していく現象を「デジタルデバイド」といいます。
もちろん、ITが仕事の手段であり、ITなしには今日も明日も成り立たないという人たちが世の中ごまんといますし(つたない技術ながら私もそうなのです が)、また障害者の方々もITにサイトを作り、歯科医師会から歯医者さん、美容室から美容師さんを自宅に派遣してもらうシステムなどを構築して大いに利用 しているのですから、やる人とやらない人にある程度の差がつくのは仕方がないことではあると思います。
しかし、これが、税の世界になると少し話が違ってくるような気がします。
ある情報筋から聞いたところによると、国税庁の使命の2本柱である、①適正公平課税、②納税者サービスの向上の、②の部分については、直接に納税者に対し て優しく事細かに対応するということではなく、国税庁ホームページのIT化充実により達成していこうということです。
要するに、分からなかったら税務署にいろいろと聞いてこないで、国税庁HPなどを見て自分で解決してくださいよということです。 実際、この7月から税務署に電話をしても、こちらの名前を名乗らない場合は質問に答えられないようなことにもなっています。
電話もITといえばITなのでしょうが、まあこれはIT弱者切捨てということになるのでしょうか。
確かに、国税庁HPの充実度はすばらしく、また、いちいち納税者の質問を調べて答えていたらいくら時間があっても足りないというのも分かりますが、あまり ドラスチック(過激)にこのようなことをやると、「税務署が何も教えてくれないから」だよと、確定申告ができない人たちが増えてくるような気がします。
そうすると、税務署もまたそれらへの対応に時間をとられて、さらに忙しくなったりもするでしょう、あまりドラスチックな改革は、IT弱者だけでなく世の中にもひずみが生まれるのでは。

税理士法人SETACS