先日、紀州の南高梅をいただきました。

 一つ取り出して口元に持ってくると、淡く優しい開花直後の花の香りが鼻の奥から脳内までもくすぐり、その香りに我慢できずに口に入れてみればハチミツに漬けた甘い酸っぱさが舌を刺激し、あたかも海風に囲まれた梅園にいるかのような陶酔感を覚えます。

 さて、この南高梅の名前の由来を調べてみると、香しい秘密、いやほのぼのと楽しくなるような秘密がそこにはあります。

 和歌山県は、日本の国産梅の生産の6割を誇る県です。

 時は明治35年、梅農家の高田さんは、その梅の木のたくさんある中でも、とりわけ大きな果実をたわわに付ける木を発見しました。

 その木は「母樹」として大切に育てられ、後に「高田梅」と呼ばれるようになり、半世紀を経た昭和25年からの5年間の調査で最優秀品種として選ばれ、その調査研究に尽力したのが、和歌山県立南部高等学校の先生だったことから、その名を取って「南高梅」と命名されたそうです。

 南高校の梅という事ですね。

 何とも日本語は面白いもので、そうですか「南高梅」ですか、と二つ目の梅は土の色を鈍く放つ手作りの器にポトンと落とし、そこに焼酎、お湯の順番に注ぐと、梅は再びその香りを辺りに放ち、それをグビと舌にコロガシ、喉に送り込めば、脳は桃源郷(梅だけど)の地を彷徨うのでした。

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