350年間に及び謎だったフェルメールの「小路」の場所がアムステルダムの美術史学者グリゼンハウトさんにより発見されて世界中が喜びに震えた(そうでもないか)のは昨年暮れでした。
 フェルメールと言えば「真珠の耳飾りの少女」「牛乳を注ぐ女」などの日本人も大好きな作品がありますが、実は生涯で描いた絵の数は意外に少なく37枚で、そのうち風景画は「小路」と「デルフト眺望」のたったの2枚でした。
 「デルフト眺望」の方はフェルメールが生まれたオランダのデルフトの街の南端の船着き場の対岸からの眺望であることはわかっていたのですが、「小路」はデルフトの街のどこであるかが疑問でした。
 フェルメールの絵は、そこにあるものは全て実在するもので正確に描かれていることが分かっていて、例えば「天文学者」の絵にある天球儀、「地理学者」の地球儀、なども丁寧に子細に描いています。
 だからきっと、「小路」の絵も繊細に丁寧に描かれているはずなのにどこの場所かわからない、人口が1万人もいない小さな小さな街なのにどこかわからない。
 と、切歯扼腕するフェルメール命の人々の中で威風堂々(かどうかはわからないですが)と立ち上がったのがグリゼンハウトさんで、フェルメールの生きていた時代の市の税金は家の間口の広さにより計算されていたことに気が付き、その納税史料には間口の数値もそれに対する税額が細かく書かれていたことに注目したのです。
 そこでフェルメールの正確で丁寧で細かい描写が役立つわけで、フェルメールの性格から「小路」のレンガ、道、空間も正確に描かれているのは間違いないと、納税史料と路地を突き合わせていくと、なんとそこはフェルメールのアトリエから数分のところにありました。しかもそこはフェルメールのおばさんの家であったということが分かり、これはもうそうでしょう、ここなんでしょうとなりました。
 グリゼンハウトさんはこの「小路」を特定するにあたってGOOGLEストリュートビューも使ったようで、古い史料とGOOGLEでの発見、なんか夢の中の素敵な冒険を見ているようです。

税理士法人SETACS