ソニーなどの大手企業が海外取引について次々と国税局に追徴課税をされています。 普段、私は税務署から「○×会社の調査をしたい」との連絡を受けて、 社長にその旨を伝えると、「もっと大きな会社をして欲しいよなあ」とよく言われますが、その大きな会社への国税局からの風当たりが強くなっているのです。  ソニーの場合は、海外子会社の光ディスクの特許使用料と、アメリカで販売されたプレステーションのブランドの使用料が安いということで2年間で324億 円の追徴をされました。 ようするに、アメリカから日本に支払われた金額が少ないので、その分日本で納める税金が少なくなるのです。 これに対して日本の 国税庁が「日本で納めている税金が少ないので、ちゃんとした税金の額を納付しなさい」と迫り、会社側は「それでは二重課税になってしまうので、その分はア メリカから返して欲しい」と反発するのですが、これがそうは簡単には行きません。 アメリカの税務当局もせっかく入ってきた税金をおいそれと返すわけもな いので、国家間レベルで2年も3年もかけて二国間協議をします。 この協議がうまくいって両国が合意したらその分の税金は戻りますが、巨額なキャッシュが その間寝ることになります。 また、合意ができないと裁判で決着をつけるしかありません。
  その裁判を、世間体を気にせずに多額な弁護士費用などをかけながら戦っていこうというのが「強い納税者」なのです。 今までは公判のたびに新聞・テレビで 取り上げられるので、裁判まではしないという大手企業が多かったのですが、これからは堂々と戦っていくようです。 巨大な国家権力をバックに持つ国税局と 巨額な資金を持つ大手企業との戦いがこれから始まるのです。 (アエラ 10.30参照)

税理士法人SETACS