世界遺産に登録されている約850件のうち、危機遺産リストに載っている資産が34件あります。危機遺産とは、世界遺産に 登録されたもののその後の周りを取り巻く環境や政情不安のため世界遺産としての価値を損なう恐れがある資産をいいます。その中には、タリバンが爆破して しまったバーミヤン渓谷やユダヤとパレスチナが争うパレスチナの地などがありますが、特に多いのがアフリカの各自然公園で、貧困と内乱により窮し た人たちがサイなどの角を取るために密漁を繰り返し、密林を焼畑に変えたりしています。
フィリピンのコルディエラの棚田は、水が上から下に流 れるように山の斜面を上手に利用しているのですが、まるで扇子を何重にも組み合わせたような美しい風景に思わず息を呑みます(行ったことはないのです が)。しかしこの地は若者が町にお金を稼ぎに行くようになり、後継者不足で所々の堤防は決壊し、いつまでこの風景が保たれるかは疑問視されています。
世界遺産として、後世の人たちにその文化・自然の素晴らしさを残していくべきか、人間が生きていくためにはそれらを犠牲にするのか、難しいものです。

税理士法人SETACS