「林さん、2005年のロマネコンティで安く出せるのが1本あるのですがいかが
ですか」と時々ワインを買っているお店からオファーがありました。「ビンにちょっ
と傷があり、ラベルが傷んでいるので安くお出しできるだけで、中身には影響があり
ません」ということです。

 「ふーむ、いくらなのかな」と少しはワイン通に見えるように尋ねると、「たった
の65万円です」と彼はおっしゃる。「なんてことだ、聞かなければよかった」と心
の中の動揺を見透かされないように「6500円なら考えたんだけどなあ」と冗談で
その場を離れました。

 ロマネ・コンティの年間生産量は不調な年で4千本、順調な年で7千本、平均で7
千本しか出荷されない貴重なワインです。しかも2005年物は1本100万円を軽
く超えるようです。

 ワインの瓶の一般的サイズは750mlです。

 仮に、ロマネ・コンティが100万円とすると7.5mlで1万円。ロマネ・コン
ティにふさわしい大ぶりのワイングラスが200ml入るとすると、グラスの下のほ
うにへばりついたわずかな赤い液体が1万円ということになります。ワインはまずは
「観て味わい」次に「香りで味わい」最後に「飲んで味わう」と言いますが、目鼻口
よりも頭で「一口8万円」とかの計算ばかりして味がわからないこのワイン、果たし
でこれが正義の値段なのか、いや絶対に不正義なのでしょう。

税理士法人SETACS