イギリス人のブロードベントは、クリスティーズのワイン部門創立時からの責任者で世界のセレブのワインセラーを駆け回り、何万と言う高級ワインをテイスティングし、それをメモをしたノートは本になり、古いワインに関する標準的な参考書になりました。
 ブロードベントのテイスティングの手引書はワインを仕事にする人たちの決定版とされています。
 テイスティングの評価として、どんなワインも女性に見立て、例えば1979年のペトリュスには「賛美はできても、ベッドへ連れていく気にはなれない」などと表現します。
 1985年に、そのブロードベントがクリスティーズの競売で一番緊張したと言うワインが、シャトー・ラフィット1787年でボトルには「Th.J」=トマス・ジェファーソンの頭文字、アメリカ建国の父であるジェファーソンは国民には倹約を言いながらも、当代随一のワイン通でした。
 そのラフィットの競売は急上昇し、最後にキップ・フォーブズ(フォーブズ誌発行人マルコム・フォーブズの35歳の息子)が5万ポンド、7万5千ポンドと提示し、過去の最高値であった1870年ムートン・ロートシルトの半ダース3万8千ポンドに圧倒的差をつけて落札。
 7万5千ポンドは日本円で1、440万円だから、当時の価格では一体いくらなのだろうか?
 2世紀の間、壁の中に埋まっていたラフィットの味はベッドに連れていく価値はあったのだろか?

税理士法人SETACS