お正月に活きた松葉がにが2枚届きました。(朝どれ日本海http://www.rakuten.co.jp/asadore/)「何すんだ」というカニ の視線をはずし、「ごめん」と心の中で合掌し、足をもぎ取り、ふんどしをはずし、甲羅を引き剥がすと、中のもごもご動いている美味しそうなところに、「ぺ こり」と頭を下げ、スプーンで中身をこそげ取り、その中身と足の肉も少し甲羅に入れて、酒をささっとふって、甲羅ごと少しだけ蒸して、カニ酢で食べまし た。そのうまいこと、その美味しさを表現したいのですが、私の貧弱な表現ではその美味しさは伝わらないと思いますので、ここは言葉の魔術師である故開高健 さんに豊潤にして豪華であり、かつ絢爛な表現で語っていただきます。
「殻をパチンと割ると、白い豊満な肉置きの長い腿があらわれる。淡赤色の霜降りになっていて、そこにほのかに甘い脂と海の冷たい果汁がこぼれそうになって いる。それをお箸でズイ-ッとこそぎ、むっくり起き上がってくるのをどんぶり鉢に落す。そう、どんぶり鉢である。食べたくて食べたくてうずうずしてくるの を生ツバを呑んでこらえ、一本また一本と落してゆく。やがてどんぶり鉢いっぱいになる。そこですわりなおすのである。そしてお箸をいっぱいに開き、ムズと 突っ込み、「アア」と口をあけて頬ばり、「ウン」といって口を閉じる。」・・・まだまだ足しか食べていませんよ、さあ、甲羅の中身は、
「それはさながら海の宝石箱である。丹念にほぐしていくと、赤くてモチモチしたのや、白くてベロベロしたのや、暗赤色の卵や、緑いろの‘味噌’や、なおあ れがあり、なおこれがある。これをどんぶり鉢でやってごらんなさい。モチモチやベロベロをひとくちやるたびに辛口をひとくちやるのである。脆美、繊鋭、豊 満、精緻。」ダメだ、もう書けません。

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