前回の続き・・・ヘビだけでよかったのに、ヘビだけを食べたかった大学生二人は店の中で立ちすくみました。すし屋では動いているネタは「新鮮だねっ」とい う掛け声でもかけたくなりますが、この店で蠢くものたちの新鮮さは却って毒々しいムードをかもし出します。立ちすくんだ我々はアイ・コンタクトを取りきび すを返そうとしましたところ、奥のテーブルから声がかかりました。店が暗いのと蠢くものたちへの衝撃でそこに人がいることに気が付かなかったのです。 「やーいらっしゃい、今注文聞きますからね、どこでも座ってね」、意外にもさわやかな声に安心しかけた我々は一瞬席を探そうとしましたが、そのさわやかな 声と裏腹なものが彼の口元でにょろにょろしています。泥鰌の生をざるに入れて数匹ずつ活きたまま口に放り込んでいるのです。「すぐ食べ終わるから」といっ た口元から泥鰌のしっぽがのぞきます。「あっ、すいません」、何がすいませんか分かりませんが大学生2人組みはすごすごと回れ右をして店の外へと争うよう に飛び出したものでした。

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