先日、とある西安料理の店に入りメニューに載っていた「ヤンルーボーモー」について、店員さんに質問をすると言葉が今一つ通じなかったのですが、どんな料理かわからないまま注文をしてみました。
 すると、どんぶりの中に大きなパンのような焼いた饅頭(まんとう)が入って出てきました。
 キョトン顔で彼女を見ると、「ちぎってね」と、彼女は恥ずかしそうに笑います。
「ち、ちぎるんですか?」「どうやって?」と尋ねると、「細かくちぎってね」と彼女は今度は意味深に笑います。 「細かくかあ」、後でものの本で調べると 「蜂の頭の大きさほどにちぎる」と書いてありましたが、この時は知らなかったので、親指が熱くなりながらも3回のやり直しを命じられ、やっと「それで良 い」と合格点が出ると、彼女は熱々の羊肉のスープをその上からかけるのでした。
 このヤンルーボーモーは、ものの本によると「羊肉泡饅」で、「泡」は「浸す」という意味で、料理の由来は、中国の北宋の皇帝がまだ貧しかったころ長安に 流れ着き腹が減ったが、持っている食べ物はカチカチの饅頭のみ。 それを見かねた牛肉料理屋の親父が熱々のスープをかけてくれたので、饅頭は柔らかくなっ ておいしく食べることができた。
 その後、皇帝になり長安のその店に行き、十年前のあの食べ物を所望したところ、急な注文にあいにく店に饅頭はない。しかし皇帝の頼みなので、あわてて饅 頭を焼くが発酵させる時間もないため固いので、ちぎってスープで煮て食べさせたところ、皇帝は大いに喜び100両の褒美をくれました。
 その評判を聞いたお客が押し寄せてその料理を注文するので、店は忙しくなり、饅頭は客にちぎるようにお願いし、最初は牛肉を使っていたがこれも足りなくなり羊肉にした、とのことです。
 その羊肉スープに浸したちぎった焼き饅頭は、確かに小さくちぎったものほどスープが芯まで浸み込んでいて美味しいのですが、大きくちぎった奴も自分の労働の成果かと思うとかわいく感じるのでした。

税理士法人SETACS