インド半島の南東部にタミル語を言語とするタミルの人々がいます。
 タミルの人々は南インドの豊潤な大地からの食の恵みを存分に受け、またその食事を楽しみ満喫し堪能します。そしてそのような食文化の発達した人たちには心に余裕が出ますから、永年の歴史の中から食事の際の決まりなどができてきます。
 まずバナナの葉皿は切断した面を自分の右側に来るように置き、スープもおかずも混ぜるのも全て右手で行い、食べる順番も決められています。
 その代り、食べ残してもゲップをしてもOKです。なぜならば、それは残すほどにごちそうが出たことにもなるし、ゲップが出るほどに満足したという意思表示でもあるからです。
 そしてそして、料理を出した人にとって怖いのが最後の作法で、食事を食べた人はバナナの葉皿を食べ終わると二つに折って席を立つのですが、その折り方によっては、料理人の心は凍りつき、周りの空気をひんやりとさせるのです。
 テーブルの上に残された二つに折られたバナナの葉。なんと、バナナの葉皿が手前に折られていると「おいしかった」、向こう側に折られていると「まずかった」ということになるのです。
 日本でカレー屋さんを営むネパールの人たちは口をそろえて、日本人は食べ終わると「美味しい、美味しい、また来るよ」と言うけど、その後本当に来る人は あまりいない、「美味しくなかったらそう言ってほしい」と語ります。タミルでもその辺は、はっきりしているんでしょうね。
 客が立ち去った後に残された二つに折られたバナナの葉皿たち、「まずい」方は早く片付けて、「美味しい」方はゆっくり片付けるなんてことも、彼の地ではされているのでしょうか。

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