iPadをいち早く購入して、あちらこちらでのipad自慢も一巡してしまった今日この頃なのですが、電車で使っている人はまだ少なく、やや恥ずかしいのですが、黒いガラス板の上を指でなぞっています。

 それは午前中の酷暑の太陽に焼かれた後に、電車の中の極寒クーラーに凍えつつ、やや空いたイスに腰掛けてipadでメールをチェックしているときにおこりました。

 「それってiPadですかー、触ってもいいですか」と2人の若い女の子が寄ってきました(ドキドキ)。

 「おれに触るならいいよ」という渾身のギャグを封印しながらも、IT最先端のインテリジェンス風に「初めてかい、どうぞ」と触らせてあげました。これがiPad特需というものです。

 しかし、そのように楽しいことばかりが起こらないのが現実で、驚くべき人との触れ合いもあります。

 同じく電車の椅子に座ってiPadをしていると、突然隣に座っているオバサンが「お兄さん、重さ、重さ!!」と叫んでいます。「ど、どうぞ」とiPadを差出して重さを確認してもらうと「意外と重いのね、お兄さんかっこいいわよ」と誉められました。これがiPadの悲劇1です。

 悲劇2も電車の中でのことで、突然、インテリジェンス風に足を組んだ膝の上に乗せたiPadの右半分に良からぬ影が漂いました。そのオバサンの茶色いパーマのかかった後頭部が叫びます。

「お兄さん、これコンピューターなの、マウスないの、コンピューターなの?」とかなりのご興奮のご様子。説明するのが困難ととっさに判断したインテリジェンスは「こ、コンピューターです」と口ごもりつつもしっかりとそのような受け答えをし、iPadの悲劇2を再度乗り切りました。 

 深い人生経験に裏打ちされた卓越なる判断力で悲劇を乗り越えたインテリジェンスは良からぬ企みもします。あるとき電車内で遠足の途中と思しき小学生たちが騒ぐので、彼らに見えるようにiPadをして、興味津々のキラキラした目がいくつもこちらを見てきた頃合を見計らい、「あー、のど乾いたなあ、ビールでも飲むかな」とiPadの画面の大きな赤いボタンを押すと、画面のジョッキにビールが注がれ、iPadを口のほうに傾けるとあら不思議、ジョッキのビールが減っていきます。

 「すげー」「なんだこれはー」と益々少年たちを騒がした悪いおじさんはそっと電車を後にしました。 

 まだオタク文化と目されているiPadを介した人々との触れ合い、日本も捨てたものではないですね。

税理士法人SETACS