財務省に有視界飛行を支配されているとしか思えない野田首相は消費税増税に強い決意を示しているようですが、小沢一郎無罪により法案の国会通過は危ぶまれています。

 そもそも消費税は増税すべきなのか、世間に喧伝されているように、国の負債は1135兆円ですよ、消費税を上げないと国は潰れてしまいますよ、それで皆さん良いのですか、痛みを分かち合いましょうよと、正当な理屈に聞こえます。

 しかし国のバランスシートを見ると資産も778兆円あるので、差引357兆円の赤字になります。赤字は赤字なのですが、負債だけを見て資産を見ないのであればトヨタのような優良企業だって即死状態です。このような資産の存在を隠すかのような財務省コントロールの吹聴はいかがなものなのでしょうか。

 消費税を支払う企業の消費税の計算方法は、(売上―仕入)×5%です。ここでポイントとなるのが、この売上が輸出であると消費税がかからないので、(売上―仕入)がマイナスになることもあり、そうなると消費税は還付されます。

 このようなメカニズムが正常に行われば良いのですが、還付企業が下請けに対して、今まで105円で仕入れていたものを100円にさせたとしても仕入は仕入なので還付の対象になりますから、この差額の5円はすべて還付対象になります。下請けをいじめればいじめるほど還付の額は増えていくということにもなります。

 日本を支えていただいている企業の方々なのでとやかく言うつもりはありませんが、前述のトヨタは下請けをいじめているかどうかは別として、2010年には消費税の還付が2246億円あります。ちなみにソニーは1116億円、日産は987億円と毎年多額の還付を受けています。

 昨年夏にはIMF専務理事のラガルドが、日本の消費税率を国際標準並みの15%にしろと迫られたのを、財務省は外圧として利用し、安住財務相はG20で消費税アップを公約しました。

 このラガルドの勧告は余計なお世話で、日本は税金その他でGDPの50%以上を国民から取り上げていますが、欧米の国の取り分はせいぜい20~30%です。すでに日本国民は稼ぎの半分の所得が年貢として差し出していますから、国民の可処分所得はしたがって残りの半分以下となるので、消費税は実は5%でも高いということになります。

 それでも消費税を増税するのか、野田よドジョウはやはりドジョウにしかならないのかな。

税理士法人SETACS