経済の良かったころの日本は高投資と高貯蓄の両輪が見事にマッチして走り続けてきました。ところが今の日本は、投資の需要がないのに貯蓄にばかりに走っています。それがますます先月号に書いたようなデフレの悪循環につながります。
この悪循環はいつ止まるのでしょうか。それは人々があまりにも貧乏になって誰一人貯蓄できなくなるとようやく止まるのです。例えば10万円の所得が5万円 になったとすると切り詰めようと思っても住宅ローンもあるし、今までの生活の水準からなかなか抜け出せないので、当然に貯蓄はできなくなります。こうして 民間があまりにも貧乏になって、民間全体の貯金が0円になったときにこの悪循環は止まるのです。働けど働けど貯蓄はできない、まさに1930年代のアメリ カの大恐慌と同じ状況です。
だから今の「貯蓄は美徳」でなく「悪徳」ということになってきます。要するに、国民の皆様、もっと投資してください、消費してくださいということです。
ところで、小泉首相も経済復興に向けて、嫌々ながらも国債発行30兆円超、補正予算などに取り組む気持ちになってきたようですが、この「嫌々ながら」、 「世論に押されて仕方なく」といった態度が見え見えなのが良くありませんね。日本のトップの態度が不鮮明である、ということは「俺の言うとおりに消費・投 資すれば間違いないから」という言葉が信じられないということになってしまいますからね。写真集出している場合か。

税理士法人SETACS