フランス人のカミュが書いたギリシャ神話の「シーシュポスの神話」では、シーシュポスは何らかの理由で神々の怒りを買い、大きな岩を山頂に押して運ぶという罰を受け、難所に苦難しながらも山頂に運ぶのだが、そのたびに大きな岩は転げ落ちて、また山頂に押して運ぶの繰り返しを余儀なくされます。
 うんざりと続くギリシャ危機を見ていると、この神話を思い出します。
 ギリシャは2001年にユーロを導入しましたが、導入の際に国ぐるみで粉飾決算をしていることが発覚したり、アテネ・オリンピック開催費用に返すあてもないのに借金を重ね1兆4300億円使ったりしているうちに、2010年にギリシャがユーロ危機の引き金を引き、ユーロ圏はギリシャ、スペイン、ポルトガル、アイルランド、キプロスに財政援助をし、各国同じ緊縮経済計画を実行させそのうちのスペイン、ポルトガル、アイルランドは経済成長をしたのに、ギリシャは典型的なラテン系の国民性によるものなのか、借金で遊ぶキリギリス生活を続けました。
しかもアメリカでリーマンショックが起こり、危なくなったドルをユーロの犠牲で乗り切ろうとした米英の投機筋がユーロの弱い個所=ギリシャの国債先物市場を揺さぶり危機はさらに大きくなります。
そこで各国はギリシャに支援融資をしたわけですが、そのお金はフランスをはじめとするEUのほかの国の銀行への返済のみに充てられ、ギリシャ自体はますます経済が悪化し、それに怒った国民が今年初めの選挙で、チプラス首相を選んだのです。
そして今回のギリシャ危機なのですが、チプラスが仏のオランドに電話をして独のメルケルを説得して欲しいと頼み、オランドはチプラスと同じく左派同志ということで同意したとされています。
しかし実態はそんな理由だけではなく、実は仏の財政状態も壊滅寸前で、しかもその赤字の原因を著名な経済学者に調べさせたら、「60%が銀行と大金持ちを儲けさす違法の借金である」と主張をしだし、ギリシャも「我が国借金も同じく」、そしてなんとスペイン、ポルトガル、イタリヤも同じ理由で「だから借金は返さなくていいんだ」と言いだし、ギリシャ発の「欧州革命」は同じくラテン系のキリギリス体質のフランスが乗り、いつも小うるさく小言を言うアリ体質のドイツと北欧へ意趣返しの様相です。
前回の2010年のギリシャ危機では民間金融機関が約75%の「ヘアカット」(借金棒引き)を呑み、もし今回また75%の「ヘアカット」をすると、ユーロ圏特に独、北欧の税金がギリシャ人一人に対して約270万円のプレゼントに化けることになります。
そして、それなら我が国もと仏、伊、スペインなどの国々がラテンのステップを踏みならし、借金で買ったラキでダンスを踊り、ムサカとピキリアで夜を明かします。
収拾がつかないEUの姿が将来に見えてきます。果たしてこの行方は!!どうなるのか??

税理士法人SETACS