揺れに揺れる世界経済はこれからどうなるのか、世界の経済に多大な影響を与える会議、米国大統領選、中国共産党大会などが年末にかけて目白押しです。

    EU―年末までの3つの危機

EU危機は沈静化したに見えますが、状況は全く変わっていません。と言うよりもむしろギリシャなどは1年前と比べても期待の観光客も増えずさらに経済が悪化しています、最悪は100%デフォルトしてEU離脱でギリシャに貸した銀行に多大な影響を与える、これが第1の危機です。

 第2の危機はスペインで、ドイツの裁判所がスペイン銀行を救う判断をするか否かが分岐点です。スペインでは、高級娼婦が「お前たち役人とはやらない」というストを敢行しています。

 第3の危機がイタリアで、今の首相モンティは経済学者で政党出身者でありません。政権について以来、将来の景気上昇のための規制緩和・財政再建などを次々と実施し、目先の経済と雇用の悪化を招き国民の支持率が下がっています。モンティは債務にあえぐ南欧国のリーダーであり、スペインの銀行救済でもドイツ首相を説得したりしていますので、EUのためにイタリア人は支えるように(命令調)。

    アメリカ-大統領選の最悪のシナリオ

アメリカでは年末にかけて「財政の崖」があります。特に、大型減税の期限が切れるので、この期間が延長されると景気上向き、期限切れで景気後退ということになりそうです。

オバマ再選、ティパーティ(保守派の草の根運動)議員の増加が最悪のシナリオで、この人たちは目先のリスクを避けるという考えを持たないので、議会は何も決められなくなります。

アメリカでは2008年から2010年にかけて富の約40%(平均的アメリカ人の20年分の貯蓄)が喪失しました。それが2010年に景気好転した時に国民所得の増加分の93%が所得上位1%の人に集中し、国民の経済力が完全に二極化しました。1950年代は金持ちもバドワイザー、コークを飲みマックを食べていたのですが、今はワイン、チーズを食べ、夫婦は共稼ぎ、低俗テレビを観ることもなく、教育費に大枚をかけます。

逆に、中間層は没落し、結婚できずに失業と隣り合わせ、低所得者、シングルマザーが増加しています。この二極化した分裂を「一つのアメリカ」に戻す象徴がオバマだっただけに経済の失政は痛く、かといって外交無知のロムニー大統領誕生は日本にとっての最悪のシナリオになります。

    中国―共産党大会で経済も変わる

 主席が変わって経済低迷だと新政権の威信にかかわりますので、必ずや景気回復の手を打ってきます。

 こう考えると、世界経済の動向は秋から年末にかけてが実に重要で、投資をするのであれば、年末に仕込み年初に売るという手段が功を奏すかもしれません。

税理士法人SETACS