先日、神保町古本市での「神保町が好きだ」というイベントに、私の敬愛する作家の逢坂剛さんと浅田次郎さんがトークショーをやるとのことで、台風で雨風吹き荒れる中、会場に足を運びました。
  他のパネリストに、三省堂書店の社長、大屋書房の店主、司会は週刊文春の編集長、さらに聴衆約300人、話すほうも聴くほうもまさにゴチゴチの「本のオタク」といった感のある人々の集まりでした。
逢坂さんは、緑のシャツに変な革のチョッキを着て近所のおっさん風の格好で登場し、まるで司会者であるかのようなサービス精神旺盛の語りで会場を盛り上げようとします。
かたや、浅田さんは、格好はスーツ姿でまじめそうなのですが、時々心ここにあらずといった風情で、話題とは違うことを考えている時もあったとお見受けしました。
トークでは、浅田さんのあたかも不誠実そうに動く赤い唇が「小説は小さいときからうそつきでなければ書けない」と語るのを、まじめ顔の逢坂さんが不満そうな顔でチラリと横目で見ていました。
また、浅田さんは、自分がナポリを旅行した時に「ナポリのどの店にもナポリタンはなかった」と話すと、逢坂さんに「ナポリでは普通にスパゲティと注文すれ ばナポリタンが出てきたんじゃないの」と突っつかれ、「あ、そうだったかも」という顔になり、実に悔しそうに押し黙ってしまいました。
この二人は、よほど気が合わないのではないのかと、心ひそやかに心配しております。

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