2010年は、日本が頼りにしていた世界の支配者であったはずのアメリカがおとなしくなり、中国が圧倒的経済力をバックに国際社会にゴリゴリと出てきた年でした。

 日本は、前の首相の鳩山さんが、その頼りの米軍を沖縄から追い出してグアムに行ってもらいますと宣言しましたが、どうやらそれは相当に無理筋で無定見なトラストミーでした。

 日本から米軍がいなくなってしまう、という事態が本当に起きたらどうなるのでしょうか。それは「日米同盟」つまり「米国には日本の防衛義務はあるが、日本には米国の防衛義務がない、その見返りに日本は米軍の駐留を認める」という日本には都合の良いとされる「日米安保条約」の破棄に他なりません。

 そうなったとすると果たして日本は、自国の戦力つまり自衛隊だけで隣国の中国や北朝鮮などと対峙できるのでしょうか。世界最強と言われるアメリカの第7艦隊の存在力が日本防衛の抑止力になっていることは間違いありません。また米軍が出て行ったとすると、経済的にも日本の現在の防衛予算4兆7000億円では到底足りず、毎年十数兆円の予算が必要になってくるとも言われています。

 日本の脅威として、特に中国の尖閣諸島問題で露呈した地球資源への欲求の強さがあります。

 尖閣諸島問題は、日本は国際的な慣習にしたがって日中間の中間線を境界としてきたのですが、中国は、経済水域は大陸棚で分けるべきだと主張していることにより起きた問題です。その大陸棚の向こう側には大規模な海底天然ガス田が眠っているのです。

 さらに中国は、レアアースはもう輸出しないという日本企業には致命的なことも言い出します。

 ニッケルやリチウムなどのレアメタル(希少金属)は31品目47元素あり、レアアースはそのレアメタルの一部で17種類の元素の総称となのですが、現在の世界のレアアース供給の90%以上は中国が握っています。

 実は、レアアースの資源自体はベトナム、インド、カザフスタン、カナダなどの広い地域に分布しているのですが、1998年の中国の国際戦略で全世界に「低価格攻勢」をかけ、日本などの国がそれに飛びつき、他の国を市場から追い出してしまったことにより中国寡占状態になっているのです。

 ちなみに、レアアースを採掘するには広範囲の地面を削り取らなくてはならず、鉱石からレアアース抽出の時には毒性の強い硫酸アンモニウムが使用されるため、環境破壊の大問題も生じています。

 そんなこんなで日本は米軍に頼らないと生きていけない存在であることは確かのようだし、米軍も沖縄の位置関係が中国への抑止力になり、北朝鮮へは韓国に駐留する米軍がいますが、台湾防衛には沖縄からヘリで数時間の沖縄はほかのどこにも替えることができない最適の立地なので出ていく気など毛頭ありません。日本の沖縄問題、中国問題、来年以降も難しい問題になることは間違いないでしょう。

税理士法人SETACS